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NPO法人と一般社団法人の違い

NPO法人と一般社団法人の違い、皆様はどこまでご存知でしょうか?
「税制面で優遇されるのでは?」
「公のための活動をしている」
など、この程度であれば多くの方が知っておられるでしょう。
ところが、NPO法人と一般社団法人は、じつは「全く性質の異なる団体(組織)」と言えます。
そこで、活動内容や税制面、情報公開義務の有無など、これらの側面からNPO法人と一般社団法人の違いを勉強してみましょう。

 

活動内容の制限

NPO法人と一般社団法人において、最も大きく異なる点が「活動内容の制限」です。NPOは「Non Profit Organization(非営利団体)」の略称であり、その名の通り、「利益を追求せず、公的な価値のある活動のみを行う団体」と言えます。
したがって、NPO法人として活動できる内容には一定の制限があり、主に以下のような活動を行うことになります。

 

社会教育

セミナーの開催など

 

消費者の保護

消費者相談等の活動

 

国際社会への協力活動

国際交流や海外支援などの活動

 
上記以外にも活動内容はありますが、およそ20程度の活動内容に制限されているのです。

 
一方、一般社団法人にも活動内容の制限はありますが、NPO法人ほどの強い制限はありません。「公的な価値を追求する」という意味では同じですが、NPO法人より幅広い活動が認められていると考えてください。

 

情報公開義務の有無

NPO法人は「公的な価値のある活動をする」という団体であるため、「何を目的に、どのような活動をしたか。また、それにかかる経費や収入」などの情報を公開する義務があります(管轄庁に事業報告をする義務)。

 
非営利団体であるため、活動内容や運営資金などの透明性を確保することが目的です。
一方、一般社団法人にはそのような義務はありません。「NPO法人には情報公開の義務があり、一般社団法人にはない」と考えてください。

 

税制面での優遇措置

NPO法人は税制面で優遇措置が与えられます。そもそもNPO法人の収入源は、以下に頼ることになるのです。

 
■会員からの会費
■寄付
■助成金
■補助金

 
以上がNPO法人の主な収入源ですが、「助成金」と「補助金」の違いが分からない方もおられます。そこで、この2つの違いを簡単に説明してみましょう。

 

助成金と補助金

助成金とは、「支援団体からの補助」を指します。
一方、補助金は国・地方自治体から出されるもので、本来、国や地方自治体が行うべき「公的に価値のある事業」を、NPO法人に「委託する」という意味合いがあるのです。

 

NPO法人の税制優遇処置

さて、NPO法人は非営利団体であり、入ってきた資金を「公的な価値のある活動のみ」に使わなければいけません。そのため、税制面での優遇措置が取られることになります。

 

一般社団法人の税制優遇処置

一方、NPO法人と比較して自由度が高い一般社団法人は、むしろ「民間企業に近い」と言えます。したがって、税制面での優遇措置は認められていないのです。

 
しかし、「一般社団法人でも税制面で優遇措置を受けられる」というケースも存在しています。

 
一般社団法人でも、活動内容が非営利に特化しているなど、「民間企業よりもNPO法人に近い活動をしている」という場合は、税制面での優遇措置が受けられると考えておきましょう。

 

設立に必要な費用

設立時に必要なコストで比較してみましょう。

 
NPO法人の場合、設立費用は「0円」です。管轄庁による審査費用も、書類に添付する印紙代も必要ありません。
一方、一般社団法人では審査費用や印紙代がかかるため、一般的に「11万2000円」が必要だと考えてください。

 
なお、上記の金額は「全ての手続きを自分で行った場合」です。手続きの代行業者にお願いする場合は、そのコストがプラスされます。

 

NPO法人・一般社団法人の財産要件

ちなみに設立時の財産(基金)ですが、これはNPO法人でも一般社団法人でも「0円」で構いません。設立時に一定金額の財産を保有する義務はないのです。

 

設立にかかる期間

これも大きな違いです。
一般社団法人の場合、書類作成に1~2週間、登記手続きに1週間ほどかかりますが、スムーズに行けば「1カ月以内」で設立できることになります。

 
一方、活動内容等の透明性が強く求められるNPO法人の場合、管轄庁による審査が4~5ヶ月もかかることになります。
したがって、スムーズに行っても「約半年」だと考えてください。

 

構成員(正会員)の議決権

NPO法人でも一般社団法人でも、構成員(正会員)になれば議決権が与えられ、NPO法人の場合は「1人1票」となっています。

 
一方、一般社団法人はトップの意思によって議決権を制限することが可能です。したがって、一般社団法人の構成員になる場合は、「議決権がどの程度あるのか?」について事前に調べた方が良いでしょう。

 

設立時に必要な構成員(正会員)の数

こちらもNPO法人と一般社団法人では異なった規定があります。
NPO法人の場合、設立時に「最低10人」の構成員が必要です。それ未満では審査に通過することが出来ません。

 
一方、一般社団法人は「2人」となっています(一般財団法人は1人でも可)。

 
また、設立時の「理事の人数」にも規定があります。
NPO法人の場合、設立時に「理事3名以上、監事1人以上」が必要ですが、一般社団法人では「理事1名でOK」となっています。

 
さらにNPO法人には、「構成員の入会規制」がありません。「入会したいです」という人がいれば、拒否することが出来ないと考えておきましょう。しかし一般社団法人においては、一定の入会規制が認められているのです。

 

まとめ

上記の通り、NPO法人と一般社団法人には多くの違いがあります。最後に、「違う箇所」を簡単におさらいしておきましょう。

 
■活動内容の制限
■税制面での優遇措置
■管轄庁への報告義務
■設立時の費用、期間、必要人数

 
など、他にも細かい点で違いはありますが、主に上記の点で異なると考えてください。